労務アドバイス vol.100
社会保険の年収の壁について (2025.02.26)
昨年の衆議院選挙後より、所得税の壁である103万の壁などを中心に「年収の壁」の話題が多くなっています。103万、106万、130万など耳にしますが、所得税の話と年金の話とで要件も異なるため、理解を深める必要があります。
「106万の壁」
従業員数(厚生年金の加入者)51人以上の規模の会社に勤務する方が、社会保険(健康保険・厚生年金)へ加入する年収額のことです。年収106万という表現となっていますが、厳密には、月88,000円で判断します。この壁には、時間外手当や賞与などの金額は含まれず、純粋に雇用契約書に記載した労働条件で働いた場合、月88,000円以上となるかどうかで判断されます。なお、週20時間以上という要件もあるため、月88,000円以上となっても、週あたり20時間未 満の勤務である場合は、加入資格がないことになります。
「130万の壁」
年収130万は、60歳未満の人が、家族の健康保険の扶養として認定される基準の年収額を指します。年収130万以上となると、家族の扶養から外れますので、勤め先の保険に加入するか、勤め先で加入資格がない場合は、国民健康保険と国民年金に加入し、これまで支払う必要のなかった保険料をご自身で負担することとなります。
今、所得税法上の年収の壁についてさかんに議論されていますが、個人的には、社会保険の壁もあわせて検討しないと、片手落ちではないかと感じています。
この件につきましては、引き続き情報収集に努め、いち早く情報をお届けできればと思います。