労務アドバイス vol.107
今年度の最低賃金について (2025.09.24)
これまで期間雇用のパート労働者や、無期雇用の労働者に、休職規定を設けることは少なかったのですが、同一労働同一賃金のガイドラインによると、無期雇用の労働者には正社員と同一の休職期間を、また有期雇用の労働者も、契約期間の満了日までを上限に、休職を付与しなければならない、との記載があります。そもそも休職という制度は、本来労務提供不能となったところで、解雇すべきところ、その解雇を保留とし、雇用身分を継続させる制度となります。会社により異なりますが、私傷病等で労務提供が不能となった場合、即解雇ではなく、ある一定の期間、休職を認める会社が一般的です。また就業規則では、休職期間満了時、従前の業務に復職できない場合、「自然退職」と定めることで、無期限の休職を回避することができます。さて、パート労働者に休職制度がない場合、どうなるでしょうか?仮にパート労働者より私傷病により労務不能と診断書が提出されたとしても、即解雇というところは少なく、通常は欠勤として取り扱う場合が多いと思います。しかし、その欠勤が長く続いた場合、その後の対応に苦慮することになります。つまり休職制度があれば、該当の労働者に休職を発令し、いつが休職期間満了であるかを労働者にも知らせることができますから、休職期間満了時点で復帰できるかどうかにより、復帰できない場合は「退職」に導くことができます。しかし、休職制度がなく、単に欠勤を長期に認めていた場合、休職満了として退職させることはできず、「解雇」の判断となるため、紛争に発展するリスクを抱えることになります。会社を守るためにも、期間雇用のパート労働者であっても休職制度を規定し、就業規則にも記載し、適切に運用することをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001246983.pdf
(同一労働同一賃金のガイドライン:厚生労働省)