【2011.01.24】    

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■ 今後法制化される「受動喫煙防止対策」「メンタルヘルス対策」
−労働政策審議会、報告書(案)を発表−


◆ 労働政策審議会が報告書(案)を発表
 12月中旬に、厚生労働省の労働政策審議会(安全衛生分科会)から、「今後の職場における安全衛生対策について(報告)」の案が発表されました。
 この中には、「受動喫煙防止対策の抜本的強化」「メンタルヘルス対策の推進」など、企業に少なからぬ影響を与える内容が盛り込まれており、今年の通常国会に、この内容を基にした労働安全衛生法の改正案が提出される見込みです。
 以下では、この報告書(案)の主な内容をご紹介します。

◆ 職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化
 受動喫煙の有害性に関する知識の普及、受動喫煙防止に関する労働者の意識の高まり等を踏まえて、一般の事務所・工場等については、全面禁煙や空間分煙とすることを事業者の義務とすることが適当である、としています。
 また、飲食店、ホテル・旅館等の顧客が喫煙できることをサービスに含めて提供している場所についても、労働者の受動喫煙防止という観点からは、全面禁煙や空間分煙の措置をとることを事業者の義務とすることが適当である、としています。
 しかし、顧客の喫煙に制約を加えることで営業上の支障が生じ、全面禁煙や空間分煙を行うことが困難な場合には、当分の間、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とし、具体的には、換気等による有害物質濃度の低減等の措置をとることとし、換気量等の基準を達成しなければならないこととすることが適当である、としていますが、当面は、国による指導を中心に行うこととし、罰則は付さないこととする、としています。

◆ 職場におけるメンタルヘルス対策の推進
 近年、職場におけるメンタルヘルス不調者の増加が大きな社会問題となっているのは周知の通りです。
 今後の事業者の取組みとして、医師が労働者のストレスに関連する症状・不調を確認し、この結果を受けた労働者が事業者に面接の申出を行った場合、現行の長時間労働者に対する「医師による面接指導制度」と同様、事業者が医師による面接指導および医師からの意見聴取等を行うことを事業者の義務とする新たな枠組みを導入することが適当である、としています。
 なお、ここでいう「新たな枠組み」では、個人情報の保護の観点から、医師(ストレスに関連する症状・不調の確認を行った医師)は、労働者のストレスに関連する症状・不調の状況および面接の要否等の結果について、労働者に直接通知することとする、としています。

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